巨人の新キャプテン 坂本勇人の底知れぬポテンシャルと魅力【画像あり】

2015年から巨人のキャプテンマークは阿部慎之助から坂本勇人に引き継がれた。
プロ9年目となる巨人不動の遊撃手のこれまでの活躍を紐解き、その魅力を掘り下げていきたいと思う。
1.期待の新星の登場
坂本勇人は兵庫県出身の26歳。同年代には田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)、前田健太(広島)などがおり、「黄金世代」と言われており、坂本もその一角を占める。
小学校時代はその田中とバッテリーを組んでいたこともある。坂本が投手、田中が捕手だったというのだから驚きである。
高校は青森の強豪・光星学院に進学し、3年生の時に春の甲子園に出場。その年の高校生ドラフトで巨人にドラフト1位で指名された。
プロ入り1年目は主に2軍出場であったが、2年目からは開幕スタメンを獲得。10代での開幕スタメンは松井秀樹以来であった。そのままシーズンを通じて出場し続け、全試合出場を果たした。新人王こそ67試合に登板した同僚の山口鉄也に譲ったが、久々の巨人生え抜きの新星に期待が高まった。
当時の巨人を日本シリーズのスタメンから見ると、全試合スタメンだった選手で生え抜きは鈴木尚広と坂本だけだったのだ。
2.意外な長打力の秘訣は「左利き」?
3年目からは打撃が評価され1番に定着し、打率3割に到達(.306)。ホームランも18本とパンチ力を見せ始める。
これ以降毎年2桁ホームランを記録し、2010年には自己最多の31本を放っている。特に、インコース打ちには定評がある。ヒットゾーンがセンターからレフト方向に集中しており、右打者なので所謂「引っ張る」打撃である。
「引っ張る」タイプの打者はバットを振り切るので強い打球になることが多く長打も増えるが、力任せで確実性に欠けるイメージもある。
しかし、坂本の場合そのイメージは全くない。坂本のインコース打ちは左ひじが伸びきらず腰の回転についてきて、バットにミートしてから振りぬいている。
このインコース打ちの上手さの一つの理由といわれているのが、「左利き」である。坂本は右投右打ながら左利きで、利き腕である左腕の使い方が上手いのではないかとされている。
3.臆せず「攻める守備」を続ける
打撃だけではなく、守備も魅力の一つである。
守備力を数値化した指標の一つであるアルティメット・ゾーン・レーティング(UZR)で、坂本は常に高い数値を示しており、守備範囲の広さ、一塁への送球は特に定評がある。
その一方で、エラーも多数記録している。遊撃手に定着してからの7年中6回もリーグワーストの失策数を記録。
しかし、それは坂本の守備が拙いことを示しているのではなく、守備範囲の広さから本来届きそうにない打球まで追って行った結果なのである。
周囲からも確実性のある守備を進められたことがあるが、「消極的に守ることに何の意味があるのかわからない」と一蹴している。遊撃手は守備範囲の広さ、早い打球への反応、送球の確実さ等、野球の中でも特に高い守備力が求められる。
そのポジションを守り続けるだけでも高い負荷がかかるにもかかわらず、決して臆せず「攻める守備」を続けるているのである。
~選ばれしトリプルスリーへの挑戦者~
坂本クラスの大型遊撃手はなかなか出現しない。走らせても一塁到達4.15秒の俊足である。現役選手で最もトリプルスリー(打率3割、本塁打30本、30盗塁)に近い選手ではないだろうか。
プロ野球の歴史でも8人しか達成していない大記録である。それに挑戦する資格が、今の坂本にはある。