禁断のアーム型でプロへ挑戦!オリックス 佐藤世那のこだわりのフォームと名前の由来とは?

宮城県仙台市出身の佐藤世那(さとう せな)投手は、南光台東小学校2年生の頃から本格的に野球を始め、仙台育英秀光中学校に進学してからピッチャーに転向します。
ケガをしやすい、という理由で敬遠されがちなアーム型のピッチングフォームからノビのあるストレートとキレ味鋭い変化球を繰り出す佐藤世那投手は、仙台育英のエースの座をつかみ、2015年夏の甲子園ではチームを準優勝に導きました。
甲子園での快進撃と、U-18のワールドカップでベストナインに選ばれた事が評価されて、2015年のドラフト会議でオリックスバファローズから6位指名を受けた佐藤世那投手。
アーム型のピッチングフォームを矯正しなくても、甲子園で活躍し、プロ野球チームに入団する、という新しい道を開拓した佐藤世那投手の活躍に注目が集まっています。
➊夏の甲子園準優勝で一躍ドラフト候補へ!
東北地方屈指の野球強豪校・仙台育英へと進学した佐藤世那投手は、1年生の秋からベンチ入りを果たし、2年生の秋にはチームのエースピッチャーに抜擢されます。
エースピッチャーになった直後の秋の大会では、16試合に登板。うち13試合で完投、7試合で完封、という凄まじい成績を残し、チームは宮城県大会、東北大会、明治神宮野球大会の3大会で優勝します。
ストレートの最速が140キロを超え、完投能力も持ち合わせている本格派右腕投手として、ドラフト会議の目玉となった佐藤世那投手でしたが、2年生秋の明治神宮野球大会で右ヒジの剥離骨折が判明します。
右ヒジが完全に回復していない中で迎えた2015年の選抜高校野球では、優勝候補の筆頭に挙げられたものの、佐藤世那投手の不調が影響して、2回戦で大会を優勝した敦賀気比と対戦し、敗れてしまいます。
選抜高校野球のリベンジを誓った2015年夏の甲子園では、試合をこなしていく度に調子を上げていき、準決勝で清宮幸太郎選手を擁する早稲田実業相手に完封勝ちを収めるなど、大車輪の活躍を見せます。
決勝で東海大相模に敗れてしまいますが、チームを26年ぶりの準優勝へと導く活躍を見せた佐藤世那投手への評価は急上昇。ドラフト会議の指名候補の仲間入りします。
➋アーム型フォームを貫く「世那スタイル」
2015年夏の甲子園後に開催されたU-18ワールドカップでは、アメリカ代表相手に完封勝ちするなど、日本代表のエースとして大活躍した佐藤世那投手は、ピッチングフォームが変わっている事でも知られています。
佐藤世那投手のピッチングフォームは「アーム型」と呼ばれるもので、腕のテークバックを大きくして、ヒジをたたまずにボールを投げ込みます。
しかし、この「アーム型」はケガをしやすいピッチングフォームとされていて、少年野球の頃から別のピッチングフォームに矯正されるのが一般的となっています。
実際に、佐藤世那投手も中学校時代にピッチングフォームの変更をすすめられ、フォーム改造を試みますが、佐藤世那投手には別のピッチングフォームがフィットしなかったため、「アーム型」を貫く事にしました。
「たくさんトレーニングをして、ケガをしない体を作ればいい!」
このように決意した佐藤世那投手は、中学校時代はもちろん、高校に進学しても「アーム型」で投げ続けています。
プロでも「アーム型」を貫いて、1軍でバリバリ活躍するような事になれば、「アーム型」への見方も大きく変わるはずですよね。
「アーム型」の投手のパイオニアとして、プロのマウンドで躍動してくれるのではないでしょうか。
➌父の思いが込められた「世那」の由来とは?
佐藤世那投手の「世那」という名前を命名したのは、父親の慎一さんです。
なぜ、慎一さんは世那と名付けたのでしょうか。
慎一さんは、外国人から自分の名前を「しんいち」と呼ばれず、「しいち」と間違って呼ばれた経験があり、気にしていたそうです。
「生まれてくる子供には、外国人にも呼ばれやすい2文字の名前をつけてあげたい」
このように考えていた慎一さんは、F1の名ドライバーであるアイルトン・セナ選手から、「セナ」の名を拝借して、自分の息子に命名しました。
また、佐藤世那投手が誕生する1年前に放送されていた月9ドラマ『ロングバケーション(1996年)』の主人公・瀬名秀俊(せな ひでとし)の名字も「世那」の由来となっています。
瀬名秀敏役を演じていたのはSMAPの木村拓哉さん。
『ロングバケーション』は、木村拓哉さんの人気を確実なものにした伝説のドラマです。
慎一さんは、生まれてくる息子に対して、アイルトン・セナ選手や木村拓哉さんのように、第一線で活躍する人物になってほしい、という思いがあったのではないでしょうか。
「世那」という名前には、父・慎一さんの息子への強い愛情を感じます、名前の由来が日本中の野球ファンに知れ渡るくらいの活躍を期待したいです。
➍意外な低評価⁉6位指名から飛躍を目指す
甲子園準優勝という実績がありながら、ドラフト会議では6位指名となった佐藤世那投手。
「4位ぐらいで指名されると思っていましたが…」と佐藤世那投手自身もコメントしているように、実績のわりにはドラフト会議での評価が低かったように思います。
仙台育英のチームメイトだった平沢大河選手はマリーンズから1位指名を受けていますし、甲子園の決勝で投げ合った東海大相模の小笠原慎之介投手もドラゴンズから1位指名を受けていますから、「あれ?」という思いになるのも仕方ない事だと思います。
しかし、プロの世界に入ってしまえば、ドラフト会議の順位は全く関係ありません。
先日、2,000本安打を達成したカープの新井貴浩選手もドラフト6位からはい上がっていますから、佐藤世那投手が活躍する可能性は十分あると思います。
6位指名だったからこそ、佐藤世那投手には期するものがあるはずですし、新井貴浩選手のようにドラフト下位指名からはい上がった選手の代表例になれるよう、プロの世界で飛躍してもらいたいです。