ソフトバンクの新エースへ!田中正義 苦難の高校時代からドラフト主役への道のり(創価大出:背番号25)

やはり主役はこの男だった…。
創価大 田中正義が注目を集めてからは12球団で競合とまで言われ、それだけ他の選手とは比較にならない『絶対的な存在』。
2016年ドラフトの一番大きな注目は田中に何球団の指名が入るか?そしてどの球団が指名権を獲得するかだった。
そして始まったドラフト会議の一巡目指名選手がペナントレース下位球団から読み上げられた。
「オリックス 山岡泰輔」、
「中日 柳裕也」、
「楽天 藤平尚真」、
「ヤクルト 寺島成輝」、
「西武 今井達也」、
「阪神 大山悠輔」・・・。
半分となる6球団の指名が終了したが田中の名前は呼ばれない。
会場にどよめきが起こりはじめ、ドラフト中継のアナウンサーからも田中を指名する球団がないことを告げた直後、
「ロッテ 田中正義」
とうとう2016年ドラフトの主役の名前が会場に響いた。
会場内からも歓声が上がり、ここから怒涛の1位指名ラッシュとなり後半のペナント上位6球団のうち1位指名したのは広島、日本ハム、巨人、ロッテ、ソフトバンクの5球団だった。
結果は、5球団の抽選となったが昨年の4球団競合で高橋純平を引き当てた工藤監督が2年連続で強運を発揮し、ソフトバンクホークスに入団交渉権は決定した。
どのようにしてドラフトの主役まで登りつめたのか?田中正義の球歴、アマ時代の戦績を振り返ってみよう。
➊基本データ・球歴
ポジション:投手(右投右打/186cm 91kg)
出身校:創価高校→創価大学→SB(ドラフト1)
生年月日:1994.7.19
出身地:神奈川県
上末吉小1年から駒岡ジュニアーズで野球を始める。末吉中では川崎中央シニアに所属し、創価高校には投手で入学するが主に外野手として活躍。高校時代の成績は3年夏の西東京大会ベスト4が最高で甲子園には届かなかった。
➋我慢の高校時代~大学1年
高校時代は目立った活躍がなかったのは実力がなかったわけではない。高校1年夏には甲子園出場もある名門 創価高校で早くもエースナンバーを背負っている。
しかし、右肩の故障に悩まされ同年秋には外野手に転向せざるを得なかった。このあとのチームのエースとなったのが大学でも同僚となり良きライバルの池田隆英(楽天ドラフト2位)である。
しかし、投手の道を諦めることはせずに次のステージを見据えて全体練習後に一人で投球練習を続ける地道な努力を続けたことで現在のストイックさ、我慢強さは生まれたのではないだろうか。
創価大入学後に念願の投手へ再転向し、バルセロナオリンピックで銅メダルを獲得した佐藤康弘コーチの指導を受け、故障しにくいフォームと体力作りに集中した。
➌覚醒の時を迎えた大学2年春
満を持して2年春にリーグ戦デビューを果たすと、今までの地道な努力で得た実力を発揮し、注目を集める存在になる。
そして田中が一躍全国区へ駆け上がるきっかけになったのは全日本大学野球選手権1回戦。
佛教大を4安打無四球完封、最速154kmを記録し、ズバ抜けた結果と内容で衝撃的な全国デビューを果たしたことにある。
さらに注目度が上がったのは、大学3年6月のユニバーシアード大学日本代表としてプロ選抜と行った壮行試合。若手中心とはいえプロの打者を相手に4イニングを7連続を含む8奪三振と完全に封じ込めた。
この時の田中は、「こんなにたくさんの観衆の前で投げたのは初めてで緊張した。いい結果で終われて良かった」と初々しくコメントした。
2年春のリーグデビューから一躍ドラフトの超目玉となった田中は更に数々の記録を塗り替えていく。
➍無敵の大学3年秋から試練の大学4年春
3年秋のリーグ戦では6試合に登板し、46イニングを投げて防御率は脅威の0.00のリーグ史上初の快挙を達成。更には共栄大戦ではノーヒットノーランも成し遂げる。
本格化した3年春から4年春まで56イニング連続無失点と無敵状態の投球を続けた。
しかし、大学ラストイヤーとなる今年4月23日の共栄大戦で右肩に強い張りを訴え緊急降板した。原因は高校時代に悩まされた右肩に違和感だった。
ーーー 田中 正義大学成績一覧 ーーー
シーズン 登板数 勝利 敗戦 防御率
1年春 登板なし
1年秋 登板なし
2年春 7 3 1 0.43
2年秋 1 0 0 0.00
3年春 6 6 0 0.40
3年秋 6 6 0 0.00
4年春 2 1 0 1.64
4年秋 8 4 0 1.83
➎復活の大学4年秋、再びドラフトの主役へ
いよいよ10月20日のドラフトが近づいてきた9月10日の東京新大学秋季リーグ初戦・高千穂大戦に復活登板を果たし、8イニングを2安打1失点、8奪三振。
4月23日の緊急降板して以来の公式戦だったが、「打たせて取ろうと思い、6・7割の力で投げた」と田中は語ったが投球内容・結果も見事ながら最速も153kmを計測してドラフトに向けて十分な復調を見せた。
結果としてラストイヤーの右肩の違和感がありながらも5球団の1位指名を受け、やはり自分が2016年ドラフトの主役であったことを田中正義は見事に証明してみせた。
2017年シーズン、この男がプロでもエース級である「本物の実力」を証明したとき、球界のニューヒーローが誕生する。