新切り込み隊長!巨人 立岡宗一郎 トレード・怪我による覚醒の軌跡

熊本県出身 中学時は軟式野球部に所属し、投手として熊本県大会優勝・九州大会準優勝しました。鎮西高校時代は1年春から遊撃手のレギュラーで1年夏には外野手で出場します。3年間で県大会優勝はあるものの甲子園の出場はありませんでした。
走攻守の3拍子揃った九州ナンバーワン野手との呼び声も高く2008年のドラフト会議で福岡ソフトバンクホークスより2位の指名を受け入団。指名後遊撃手としての挑戦を宣言しましたが、2012年まで1軍の出場は代走の1試合のみと壁にぶつかります。
2012年のシーズン途中に交換トレード巨人に移籍し2013年には1軍でプロ初安打を記録し内外野守れるユーリティプレイヤーとして46試合に出場、2015年には91試合に出場し規定打席には到達しなかったが打率.304・103安打と飛躍的に成績を伸ばしました。2016年は1番センターとして活躍が期待されています。
➊逆境が飛躍の分岐点
昨年低迷した巨人打線の中でひと際活躍が目立ったのが立岡でした。それまでプロ通算15安打だった立岡。この劇的な飛躍のきっかけはやはり2012年の巨人へのトレード移籍そして同年の怪我による左打者転向が挙げられる。
2012年に移籍した直後の7月のイースタンリーグ楽天戦で守備時に味方と交錯し左肘靱帯断裂という大怪我を負います。肘の痛みから右打席でバットを振れなくなり、9月になんと左打ちに転向します。左打ちは中学時代に少し経験があるだけでしたが移籍組で後がない、まさにこの状況が野球人生を懸けた賭けといっても過言ではない左打ちへの転向の決心につながりました。
その年の秋のフェニックスリーグでは打率3割をマークし、2013年には2軍の1番打者として打率.296を記録、1軍では打撃成績はふるわなかったが守備で貢献します。2014年は出場機会を失うも、開幕当初からの主力の怪我、ライバル達が結果を残せなった2015年のチャンスをものにしセンターの定位置を確保しました。
もし移籍せずソフトバンクに居続けていたら左打者の転向や1軍での出場チャンスはなかったかもしれません。また前巨人監督の原辰徳が立岡に機会を与え続けたことが今の結果に繋がっているのです。
➋生きるべき道の模索
高校時代の立岡の評価は高校通算27本の打撃と遠投105メートル、投手としても球速143キロの強肩、50メートル5秒9の俊足とまさに走攻守が揃ったプレイヤーで、同じ熊本出身の右打ちということもあり「秋山幸二2世」と称されていました。その評価通りドラフト2位で指名され将来はトリプル3を狙える選手を周りの人間は想像したことでしょう。
今の立岡は確かにその俊足強肩はリーグ屈指とも言われ、特に走力。平凡な内野ゴロを内野安打に変えてしまう10メートルの加速は目を張るものがあります。巨人最速の走り屋として将来盗塁王を獲る1番打者として期待されています。だがその打撃について左打者への転向もあったとはいえ2015年で1軍での本塁打は0、とにかく今は1番打者で求められるチーム打撃を徹底しているように見えます。2014年秋から当時2軍の荒井コーチとともに確実性を増すスタイルに変更したことも大きな要因といえます。
本人はそれでもホームランを打てるようになりたいと語っており左打者に転向してまだ3シーズン、不屈のハングリー精神で更なる進化を目指しています。
➌恩師との出会い
立岡は中学時代からそのスピードやパワーは中学レベルでは桁違いで高校進学に当たり40以上の県内外の高校から誘いがあったといいます。その中で鎮西高校を選んだ理由は立岡を「投手」ではなく「野手」として唯一スカウトした高校だったからとのこと。鎮西高校の江上監督は中学時代の立岡を初めて見て投手としての力も評価したうえで、並はずれた打力と走力に野手としての魅力を感じたと語っています。特にベースランニングの速さは中学時点で社会人のトップレベルで通用するレベルだったとのことです。
当時、立岡は西岡剛(現阪神)に憧れていて高校では野手でいきたいと考えていたそうです。だからこそ野手としてスカウトしてくれた江上監督の下で野球をやりたいと高校を選んだのです。高校時代、筋肉の偏りを防ぐため左打ちの練習もさせていたという経験も後の左打者転向に生かされています。江上監督なくして野手立岡の今のポジションはなかったかもしれません。
➍世界に羽ばたけるか⁉
宗一郎という名前は車メーカーのホンダの本田宗一郎を尊敬する父親が「世界に羽ばたいてほしい」という願いを込められてつけられたそうです。
その持っているポテンシャルは高校時代にメジャーにも評価されるほどでした。まず巨人でのポジションを確立することでWBCなど世界の舞台で活躍するチャンスは十分にあると思います。巨人の同学年に大田や橋本といった外野手もいます。高橋新監督に変わり巨人の新しい時代を築く外野手として2016年の立岡に注目が集まります。