オリックスバファローズ 七色の変化球を操る金子千尋は二面性を持つ「ガラスのエース」なのか?

長野商業高校時代の2年春にはチームを68年ぶりの甲子園出場に大きく貢献、夏も甲子園まで「あと1球」というところまでいったものの逆転負けを喫し春夏連続出場を逃すと、3年夏も準決勝で敗れ2度目の甲子園出場はなりませんでした。
トヨタ自動車に入社後、3年目にリリーフとしてようやく頭角を現し、都市対抗野球にも出場しましたが、怪我が多く目立った実績は残せませんでした。
2004年に球界再編問題の渦中にあったバファローズに自由獲得枠で入団、2006年に中継ぎとして1軍に定着、2007年後半には先発に転向し、以降2014年までに6度の2桁勝利を記録し、MVPや沢村賞、最多勝など多数のタイトルを獲得しています。
1.メガネをかけたのび太君
中学時代は色白で線が細く、メガネをかけていたこともあってチームメイトからは「のび太君みたい」と思われていましたが、ユニフォームを着ると一変し、のちに進学する長野商業の監督が一目見て「逸材」と惚れ込むほどの投球をしていたそうです。
現在でも、普段は一見してプロ野球選手とは分からない風貌でありながら、マウンドに登れば大きな存在感を放つエースに変わります。
さらに高校時代はもっとギャップが大きかったようで、なんとクラスメートの女子生徒にすら「同じクラスの金子君」と「野球部のエース金子選手」が別人だと思われていたそうです。
2.全て同じフォーム
金子選手は7種類の変化球を投げることができ、試合中には6種類(シンカーは精度が低く投げる頻度は少ない)をほぼ同じ割合で投げ分けています。
2014年のオールスターに出場が決まった際には全球変化球を投げると宣言し、実際に試合では変化球しか投げませんでした。
また、あるTV番組で金子選手が投げた画面を重ねてみたところ、金子選手のフォームはぴったりと重なって、投げられたボールだけがバラバラに変化おり、全ての球種を全く同じフォームで投げていることを証明しました。
3.度重なる故障との闘い
社会人時代には肘を故障しており、それを理由にバファローズが自由枠での獲得を白紙撤回が検討されるほどでした。
プロ入り後も1年目は肘の故障の影響で1軍登板を果たせず、「ハズレを掴まされた」とまで言われ、2011年には開幕前に右肘の手術を受けて出遅れ、2012年には右上腕の張りと腰痛さらには右肘痛でシーズンの大半を棒に振ってしまいました。
さらに2013年にはやはり右肘痛でキャンプを離脱すると、オープン戦で登板することなくシーズンに入ることになりました。
しかし怪我が多いのは確かですが、2013年には10完投で220イニング以上を投げており、決して脆いわけではないことがわかります。
~開幕投手=エースではない、
優勝に導くのが真のエース~
2014年オフに右肘のクリーニング手術を受け、その後キャンプにおいても順調に調整を続けていましたが、いざ実戦登板という段階になってリハビリのために一時離脱してしまいました。
本人も「開幕だけに合わせることはない」と語り、森脇浩司監督も「開幕投手をはっきり言う必要はない」と再考をほのめかす発言をしており、開幕に間に合わない可能性が高くなりました。
しかし、大型補強をしたとはいえ金子選手抜きで2015年シーズンを戦うことは考えられず、開幕には間に合わないとしても早期に戦線復帰して金子選手がフル回転しないとバファローズ19年ぶりの悲願が遠のいてしまうことは間違いありません。