目指すはライオンズの顔!西武 浅村栄斗 守備でも魅せた高校時代の再現を!

大阪府出身 中学時は都島ボーイズに所属。大阪桐蔭高校時は1年秋からベンチ入りしたものの翌年春の甲子園ではベンチ外でした。2年夏はセカンドのレギュラーとして大阪府大会決勝に進出。2年秋よりショートを守り、3年夏に1番ショートで甲子園出場し打率.552、本塁打2本と軽快な守備で大阪桐蔭の17年ぶりの優勝に貢献します。
2008年のドラフト会議で西武ライオンズより3位の指名を受け入団。
プロ2年目で1軍デビューし本塁打も記録。3年目以降はレギュラーとしてファースト、セカンド、サード、ショート、外野と様々なポジションで出場し、2013年には日本プロ野球最年少タイ記録で打点王を受賞しました。ここ2年キャリアハイと比べると成績は落ちていますが勝負強さとフルスイングでチームの主軸を担っています。
❑高校次代から異例のスタイル変化
高校3年の大阪桐蔭を優勝に導いた切り込み隊長の姿は甲子園に強いインパクトを与えてくれました。打っては先頭打者ホームランや右に左に鋭いあたりを放つ、守っては軽快なグラブ捌きや強肩を披露、足も速くまさに走攻守の三拍子揃ったタイプで1番打者として相手にとって脅威でした。そのイメージからしてプロで中軸を任され打点王を取るというのは予想できませんでした。高校で1番を打っていた選手がプロで4番を打つというのはほとんどないでしょう。本人ですら「プロに入る前は1番を打ちたいと思っていて、タイトルを獲るとしたら最多安打や首位打者、トリプルスリーをイメージしていた」と語っています。
このスタイルの変化のきっかけは西武のおかわり君こと中村剛也の離脱で4番を任されたことではないでしょうか?
これまでチャンスメイクやポイントゲッターとしてのタイプでやってきたが「4番」を経験することで自らのバットで試合を決めるバッター像を見出だし新たなスタイルを身につけることができました。それが出来るのも浅村が持つ高い野球センスとポテンシャルあってのことですが、技術より意識が浅村の場合プレーに及ぼす影響は高かったといえます。
2013年は打率.317、本塁打27、打点110と、3割30本100打点にあと僅かという成績でした。特に驚きなのが本塁打の数。高校通算30本塁打にも満たなかった浅村がプロの世界でこれほどの本塁打を1シーズンで放つとは思いませんでした。高校時代ホームランバッターが中距離やアベレージヒッターになることはあってもその逆は異例といえます。
❑進化し続ける打撃
浅村といえばファーストストライクから思いっきり振っていくスタイルが持ち味で、キャリアハイの2013年のファーストストライクの打率.363、初球スイング率はリーグトップでした。浅村の良さについて評論家たちは口をそろえて「思い切り振れること」と話しています。タイミングを取れた状態でフルスイングできるのは天性の才能、浅村自身目先のヒットにこだわらず自分のスイングをし続けたことが後の結果に繋がったといえます。
浅村の躍進の理由として「来た球を打つ」から「配給を読む」つまり考えて打席に立つようになったところ、そしてフルスイングだけでなくコンパクトに右方向に強い打球を打つ技術を身に付けたことがあげられます。初球を打つにしてもただ来た球を思い切り打つのではなく、その初球を投げる相手の思考を読み切り打てること、そして状況に応じたバッティングができることが大きな進化につながりました。
❑守備では課題あり
高校時代、ショートで華のあるプレーで甲子園は沸かしていた守備が印象的でしたがプロではその守備で苦戦しています。入団当初、当時のコーチからずば抜けて守備がうまいと評価されていましたが実戦での送球難が目立ち主にファーストでの起用が多かったです。ファーストでは高い守備率でゴールデングラブ賞を獲得、2014年からはセカンドでプレーしています。上手いところも見せる半面やはり送球エラーが目立ちます。守備率は.983と特別低い数字ではないですが元々は華麗な守備が持ち味でもあります。
中島(元西武・現オリックス)を見続けた影響も少なからずあるとも言われていますが、今一度原点に返って送球は上半身に頼るのではなく脚で運ぶという基本に立ち返るべきだと思います。
❑強打のセカンド復活、そしてチームの顔へ
近年のセカンドのイメージは小技の効く巧打者です。一昔はダイエー時代の井口や小久保、ロッテ時代の落合など強打のセカンドがいました。昨年山田(ヤクルト)がトリプルスリーを達成し久しぶりにセカンドの強打者が現れました。セカンドが強打者だとそれだけでチーム全体の打線に迫力が増します。
ここ2年納得のいく成績が出ていない浅村、2016年はキャリアハイを超える成績でタイトル奪還なるか注目です。西武の内野手は名手が多いです、松井稼頭央を超える逸材である浅村が新しい西武の顔になる日は近いかもしれません。